好きな色を取り入れながら、大人っぽさと気軽さが両立した着こなしをつくる。その入口として、僕が勧めるのが「モノトーン+1色」です。白・黒・グレーを土台にし、そこへ色を一つ加える。色使いに自信がなくても、全身をまとめやすくなります。

ただし、色数を守るだけで着こなしが決まるわけではありません。同じ1色でも、鮮やかさや使う面積で印象は変わります。まずは色の働きを知り、次にどこへ、どのくらい加えるかを考える。この順序で、好きな色を生かす方法を覚えていきましょう。

モノトーンを土台にするのは、大人っぽさを保つため

色使いも、大原則は「ドレスとカジュアルのバランス」です。ドレスは、きちんとした大人っぽい印象。カジュアルは、ラフで気軽な印象です。街着では両方を組み合わせ、キメすぎず、ラフすぎないバランスを目指します。その出発点として、ドレス7:カジュアル3を目安にしてください。

色のドレスとカジュアルも、スーツから考えるとわかりやすいでしょう。黒いスーツに白いシャツなど、正装では色を抑えた組み合わせが基本です。白・黒・グレーのモノトーンは大人っぽく見えやすく、鮮やかな色を増やすほど、カジュアルな印象が強くなります。

Tシャツやデニムのように、普段着にはカジュアルな服が多いものです。そこへ色を次々に加えると、全身がラフな方向へ傾きやすい。モノトーンを土台にするのは、色使いの面から大人っぽさを補い、好きな服を合わせやすくするためです。

初めは白・黒・グレーだけでも構いません。黒いトップスに白いインナー、黒いパンツと黒い靴。トップスをグレーにしても、モノトーンの範囲に収まります。色同士の組み合わせに迷わずに済むので、まず全身を整える感覚をつかみやすくなります。

慣れてきて色が欲しくなったら、ここに1色加えましょう。このルールでは、白・黒・グレーは「+1色」に数えません。赤や青のような色味を持たない「無彩色」を土台に、それ以外の色を一つ加える、という意味です。選ぶ色は赤でも青でも緑でも構いません。次に、その色の強さを見ていきます。

淡い色と暗い色は、無彩色と原色の中間にある

同じ青でも、鮮やかな真っ青、淡い水色、黒に近いネイビーでは、印象が違います。ここでいう「原色」は、鮮やかな赤や青など、主張の強い色のことです。無彩色がドレスの要素なら、こうした原色はカジュアルの要素。その間にあるのが、ペールトーンとダークトーンです。

ペールトーンは、原色に白を混ぜた淡い色です。青なら、シャツなどで見かける薄い青、サックスブルーがその一例。白に近づくことで、鮮やかな青の主張がやわらぎます。ベージュなども、この淡い色の仲間です。

ダークトーンは、原色を黒に近づけた暗い色です。同じ青ならネイビーがその一例です。こちらは暗くなることで、鮮やかな青の主張が抑えられる。ペールトーンは白に近い色、ダークトーンは黒に近い色、と捉えてください。

どちらも色味を持ちながら、無彩色に近い落ち着きがあります。原色の遊びと、モノトーンの大人っぽさを併せ持つ中間色です。「黒ばかりになるけれど、派手な色は抵抗がある」という人は、この2つから試してみましょう。

モノトーンでまとめると少しきちんとしすぎる、と感じる場合にも役立ちます。淡い色や暗い色を混ぜれば、大人っぽさを保ちながら、色による気軽さを加えられます。

「何色と何色が合うか」を覚えようとすると難しくなります。カラーコーディネートには、赤と緑、青とオレンジのように、色相環で反対の位置にある色を組み合わせる「補色配色」があります。互いの色を際立たせる効果がありますが、だからといって、真っ赤なTシャツに鮮やかな緑のパンツを合わせれば、おしゃれに見えるわけではありません。鮮やかな色同士を組み合わせると、それぞれの主張が強くなりすぎることもあります。大切なのは、色名の相性より先に、色の主張が強すぎないかを見ること。色同士の相性もありますが、まずはこの強弱を意識する方が、着こなしはまとまりやすくなります。

色の強さと、見える面積を一緒に考える

色を選んだら、全身のどれくらいの範囲に見せるかを考えます。同じ赤でも、ジャケット全体に使う場合と、バッグの一部で使う場合では、印象が違います。広い範囲を赤が占めれば主張は強くなり、小さく加えれば全身への影響を抑えられます。

「モノトーン+1色なのに、思ったより派手になった」というときは、この面積を確かめてください。鮮やかな色のアウターは、ほかを白や黒でまとめても、見える範囲の多くを強い色が占めます。1色だから必ず控えめに見える、とは限らないのです。

基本は、鮮やかな色は小さい面積で、落ち着いた色は大きい面積でも使いやすい、と覚えておきましょう。黒に近いネイビーならジャケットにも取り入れやすく、真っ赤な色ならデザインの一部などで加える。同じ種類の服でも、色の強さによって扱い方が変わります。

柄も、色の面積を見ると理解しやすくなります。たとえば、白と青のストライプのシャツ。青一色のシャツに比べて、青が占める面積は小さくなります。色そのものを淡くしなくても、白を間に入れることで、強い色の影響を抑えられるわけです。

反対に、複数の色が入っていても、面積が小さければ使える場合があります。カラフルな靴下などがそうです。ほかをモノトーンでまとめ、靴下の見える範囲も小さければ、色数の多さがそのまま全身の派手さにはつながりません。「何色あるか」と「どれだけ見えているか」を、一緒に見てください。

色を加える場所を決め、全身のバランスを確かめる

色の強弱と面積がわかったら、実際の服に当てはめていきましょう。その際は、トップス・パンツ・靴に分けて全身を見る「3分割コーディネート法」を使います。どこにカジュアルな印象があり、どこで大人っぽさを保つかを、3か所の配分から考える方法です。

たとえばトップスの白と青のストライプシャツで色を取り入れるのであれば、パンツを無彩色のスラックス、靴を黒の革靴にして、下の2か所をドレス寄りに整える。上半身の気軽さを残しながら、全体がラフになりすぎるのを抑えます。2か所をドレス寄りにするのは、ドレスとカジュアルのバランスを7:3へ近づけるための目安です。服の点数や色の面積を、厳密に計算するものではありません。

ただし、服の名称だけで印象が決まるわけでもありません。スラックスでも、太さや色、生地の表情によって見え方は変わります。それを確かめるのが、一着の「デザイン」「シルエット」「色と素材」という3要素です。3分割で全身の配分を見て、各部分の服を3要素で確かめて、ドレスとカジュアルのバランスを整えていく。この二つをつなげて考えてください。

光沢のある黒いウールのスラックスなら、スラックスというデザイン、黒という色、生地のつやが大人っぽさを支えます。形が太ければ、そこにはカジュアル感もある。形がゆったりしているという理由だけで、その一着のすべてがカジュアルになるわけではないのです。

色を加えると、その部分にはカジュアルな印象が生まれます。そこで、初めは色のある襟付きシャツなど、大人っぽいデザインの服を選ぶと使いやすい。色による遊びを加えながら、服のデザインで大人っぽさを保てるからです。

さらに、そのシャツをニットやアウターの内側に入れる方法があります。シャツ全体を見せる場合に比べて、色が見える範囲を抑えやすい。これは、色を加える場所を上半身に決め、デザインと面積の両方で調整する方法です。小物から試す方法もありますが、こうしたインナーから始めるのも手軽です。

素材にも目を向けましょう。鮮やかな色でも、光沢のある生地なら大人っぽさを加えられます。反対に、光沢のないラフな生地で強い色を広く使うと、子供っぽい印象が強まりやすい。色の名前が同じでも、生地の表情によって全体への影響は変わります。

最後に、上半身だけで判断を終えず、パンツと靴も含めて見直します。色を加えた服に、ラフな形やデザインまで重なっていないか。パンツや靴で、大人っぽさを保てているか。カジュアル感が強いなら、襟付きの服を使う、パンツをスラックスにするなど、ほかの要素でも調整できます。

慣れてきたら、落ち着いた色調で組み合わせを広げる

基本がつかめたら、必ず1色だけにとどめる必要はありません。「モノトーン+1色」は、色使いが苦手な人が始めるための指針です。この範囲を超えたらおしゃれではない、という絶対条件ではありません。

まずは、淡い色同士、暗い色同士、淡い色と暗い色の組み合わせから考えてみましょう。白と黒にベージュと濃紺を加えても、色の主張が弱ければ、色数を増やした印象は抑えられます。ただし、デザインやシルエットまでラフなものが重なれば、崩しすぎになることもあります。

同じトーン(色調)でまとめる方法もあります。たとえば、ダークネイビーのコートにダークグリーンのインナー、ダークブラウンのスラックス。色味が違っていても、暗めの落ち着いた色調に揃えると、統一感が出ます。

この例では、近いトーンを揃えると同時に、ウールのコートやタートルネックのニット、スラックスなど、大人っぽいデザインの服でまとめています。色を使うことでカジュアル感が生まれるから、服のデザインではドレス寄りにする。その両方があるので、色を増やしてもラフになりすぎず、かといってキメすぎにもなりにくいわけです。

つまり、色を増やす応用でも、初めに説明した全身の調整が役立ちます。同じトーンだから何を重ねてもよい、ということではありません。デザインや形まで含めて見れば、どこに気軽さを残し、どこを大人っぽく整えるかが判断しやすくなります。

初めは白・黒・グレーを土台に、好きな色を一つ。慣れてきたら、強弱や面積を見ながら色を増やしていく。鏡で全身を見て、大人っぽさと気軽さが両立しているかを確かめてください。このルールを覚えると、使える色を少しずつ広げながら、好きな服を楽しめるようになります。

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